【2021年1月】長崎県・横浜市の近況とは|カジノ法案

日本で統合型リゾート整備推進法が成立してから数年が経過しました。一時期は日本にカジノが誕生するのではないか?と多くの国民が期待に胸を膨らませましたよね。

しかし、2020年になって全世界が予想外の出来事に激震したのをきっかけに、統合型リゾート建設に関する議論が滞った状態となっています。ほとんどの計画が予定よりも大幅に遅れており、メディアで統合型リゾートのニュースを見かけることも少なくなってしまいました。そのため、カジノ建設についてすっかり忘れてしまった人も多いのではないでしょうか?

しかし、統合型リゾートの建設を予定している都道府県では着々と準備が進められており、具体的な話し合いが行われています。そこで今回は、長崎県と横浜市について、2021年1月の状況をアップデートしていきます。

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長崎県 最新IRニュース

長崎県は日本の人気テーマパークであるハウステンボスがある佐世保市に、統合型リゾートの建設を予定しています。

そして、2021年1月7日、九州・長崎における統合型リゾートの設置運営事業者の募集要項等を公表、公募を開始しました。資格審査書類の受付は、1月7日から1月28日までと設定されています。

運営パートナーはこの期間内に申請書を提出する必要があり、その後2021年の夏から秋にかけて事業者を選定する予定だとしています。そして、県内総合リゾート推進課によると、2020年代半ばから後半にかけてのリゾート建設を目指すとしています。

実際にリゾート建設に至るまでには、区域整備計画に係る佐世保市等の同意・長崎県議会の議決、その後に区域整備計画を国へ申請、国による区域整備計画の認定、など多くの段階を踏む必要があります。

長崎県は応募があった事業所を選定するにあたり、有識者等からなる審査委員会を設置することを予定。この審査委員会には、6名の審査委員が選ばれ、審査員長はながさき地域政策研究所 理事長の菊森 淳文氏が務めることが決定しています。

3月中旬に第一次審査の結果を公表する予定しており、この際には3つの事業者が選出されます。そして、最終的な審査結果の公表は2021年8月を予定しています。

長崎新聞によると、この長崎県の統合型リゾートの建設に関心を持っているのは日本国内の企業だけではなく、中規模の海外カジノリゾートオペレーターも候補者として挙がっているとされています。

現在長崎の統合型リゾートに関心がある企業としては、カジノオーストリアインターナショナルホールディングスGmbHの日本ユニット、香港上場の押鳥インターナショナルホールディングス株式会社などがあります。

また、昨年11が月には東京株式市場に上場しているPixel Companyz Incが、長崎県に焦点を当て、日本のカジノライセンスの取得を目指していることを発表しました。

日本政府は、統合型リゾートの主催に関心のある地方自治体は、まず民間のパートナーを見つけ、その後に国に申請する必要があるとしています。

そのため、今回の公募は長崎県にとって統合型リゾート建設の権利を得られるかどうかの重要な場面だといえます。

横浜 最新IRニュース

神奈川県の横浜市も統合型リゾートの建設地として注目されています。しかし、長崎県が着々と準備を進めているのに対して、横浜市では市民の反対により、議論が順調に進んでいるといは言えません。

というのも、横浜市民は統合型リゾートの建設の見直しを要求するために、住民投票を求め、市民団体らが約19万3千筆の署名を集め直接請求をしました。これは横浜の372万人の人口の約6%を超える数となります。

しかし、横浜市議会は8日、誘致の是非を問う住民投票を行うための条例案を議長を除く85人のうち反対51人、賛成34人で否決しました。これにより市民の請求は却下され、住民投票は行われないことになったのです。

住民投票に反対した自民党の黒川勝議員は「IRについては冷静に事業の中身を議論すべき。まだ議論の材料がそろっていないのに住民投票を行えば、議会制民主主義の根幹を揺るがしかねない」などと述べています。

一方で署名を提出した市民団体は会見を開き、「残念だ。引き続きこの問題に取り組みたい」と述べています。

今後横浜市は、長崎県と同様提案依頼書を事業者から募集し、パートナーの選定へと進んでいく予定です。しかし、市民の同意を得られていないのであれば、実際に統合型リゾートの建設を建設したとしても、多くの市民からは支持を得られないことでしょう。そうすると、統合型リゾートの建設によって得られる恩恵も半減してしまいます。

横浜市にとっては今後議論を進めていくだけではなく、市民にどのように同意してもらえるか、ということも大きなテーマとなるでしょう。

このように統合型リゾートの建設については、各自治体で進捗状況が大きく異なります。今回紹介した長崎県と横浜市以外にも統合型リゾートの建設地として候補に挙がっている都市は複数あり、それぞれで準備が進められています。

2020年は予想外の影響により統合型リゾートへの関心が薄れてしまいましたが、2021年はより議論が進み、計画が具体化していくことでしょう。