ギャンブル界のクジラにして前大統領トランプの宿敵 柏木昭男(かしわぎあきお)
最終更新日: 2024/07/25
柏木昭男さん(享年55歳)は、アメリカ前大統領ドナルド・トランプ氏とバカラ対決をしたことでも有名な人物です。
柏木昭男さんは非常に巨額な賭け方で利益を得たことから、ギャンブル界では「クジラ」とも呼ばれるようになりました。
しかしトランプ氏との2度目のバカラの戦いから一気に負債をかかえるようになり、ついには殺されてしまいます。
今回は、ギャンブル界の歴史に残る柏木昭男さんの歴史と、彼が愛したバカラのゲーム性について紹介します。
柏木昭男 ギャンブル界のクジラと呼ばれた男
ギャンブル界の「クジラ」と呼ばれた柏木昭男さんは、1937年に山梨県富士吉田市で生まれました。
柏木昭男さんは高校へ進学したものの、中退してしまいます。
高校中退後は農業を営んだり、富士山の強力(ごうりき)と呼ばれている、富士登山者の荷物を持って案内をする仕事をしたりして生活していました。
1960年代(当時20歳前半)になると、強力の仕事で得た地元の土地取引に関する人脈や知見をもとに不動産業に転向し、不動産価値の急上昇に乗って大きく収益を上げることに成功します。
そして1969年(当時32歳)のときに不動産・貸金業の「柏木商事」を設立しました。
成り上がった柏木昭男の金銭感覚と趣味嗜好
不動産業で一気に収益が上がった柏木昭男さんは、当時周りから「成金(なりきん)」と呼ばれるほど高価なものを多く購入していました。
- ロールスロイスやBMW、ジャガーなどの高級車を複数所持
- 38万5,000ドルもの価値があるダイヤモンドや骨董品を数多く集める
- 3,800万ドルを費やし「柏木城」とも呼ばれるようになった自宅を建築
一方で服装は落ち着いたものを好み、青と白のストライプ柄のシャツと地味なネクタイをしていることが多かったようです。
また、外国産の高級車を持っているにもかかわらず日常利用の車は日産車を好み、食事はうどんや漬物を好んで食べ、時代劇が好きなど、バカラ好きとは思えないほど伝統的な日本人の趣味嗜好をもった人物だったようです。
「クジラ」と呼ばれるようになった理由
クジラが海洋生態系に大きな影響を与える生物であるように、カジノの収益に莫大な影響を与える大口顧客のことを、カジノ業界では「クジラ(Whale)」と呼びます。
柏木昭男さんは1980年代からカジノに通いはじめたとされており「クジラ」と呼ばれるようになったのは1990年です。
当時オーストラリアのダーウィンのカジノで柏木昭男さんはバカラをプレイし、約2,200万ドル稼ぎました。
そのことがカジノ業界で広く知れ渡り、柏木昭男さんはギャンブル界の「クジラ」として知られていったのです。
柏木昭男の勝利の舞台裏
1980年代からカジノに通いはじめたとされる柏木昭男さんは、バカラで1回の賭けに20万ドルを使ったり、80時間ずっとギャンブルをしたりなど数多くの逸話が残っています。
そのような柏木昭男さんの壮絶なギャンブル戦歴を一覧で見てみましょう。
1980年代 | カジノデビュー |
1990年1月 | オーストラリアのバカラで2,200万ドル稼ぐ |
1990年2月 | アトランティックシティのバカラで600万ドル稼ぐ |
1990年5月 | ・アトランティックシティのバカラで1,000万ドル失う ・ヨーロッパのカジノで1,540万ドルを失う |
柏木昭男さんは1990年のオーストラリアでの多額の勝利でギャンブルにハマり、非常に短期間で巨額の賭けをおこなっていました。
しかし最終的には「ラスベガス・ヒルトン」に500万ドル、「トランププラザ&カジノ」に400万ドルもの借金が残ったままになりました。
アトランティック・シティでのドナルド・トランプとの対戦
「クジラ」と呼ばれカジノで巨額の利益を得ていた柏木昭男さんは1990年2月、ドナルド・トランプ氏に「トランププラザホテル&カジノ」へ招待されます。
そして柏木昭男さんはそこでバカラをプレイし、またもやたった10時間で600万ドルも勝ち取りました。
このことがきっかけで「トランププラザホテル&カジノ」は資金難に陥り、当時のアトランティックシティでもっとも財政状況の悪いカジノになってしまいます。
トランプ氏は屈辱を晴らすために数学者を雇い、柏木昭男さんに勝つ方法を研究させました。
その後「プレイ時間が長くなればなるほど、柏木昭男氏の勝率は下がる」ということを知ったトランプ氏は、柏木昭男さんにバカラを長時間プレイさせることにします。
そして1990年5月、柏木昭男さんはトランプ氏に再びカジノに招待されます。
柏木昭男さんは数日間で約925万ドルほど勝ちましたが、その後はトランプ氏の思惑どおり勝率が次第に下がっていきました。
さらに6日後には柏木昭男さんの負け額は1,000万ドルを超え、トランプ氏のリベンジが果たされる結果となりました。
大富豪殺人事件 柏木昭男の謎めいた死
トランプ氏との対戦から2年が経過した1992年の1月3日、柏木昭男さんは山梨県にある自宅で殺されてしまいます。
死因は日本刀のような長い刃物で、首や胸などを20ヶ所ほど刺されたことによる失血死です。
1月3日はもともと家族でいちご狩りに出かける予定だったのですが、柏木昭男さんは一緒に出かけませんでした。
そして柏木昭男さんは友人とラーメンを食べてテレビ時代劇を観たあと、午後7時〜8時の間に何者かによって殺害されます。
午後9時半に家族がいちご狩りから帰宅したところ台所が血の海となっており、柏木昭男さんはそこで仰向けに亡くなっていたそうです。
柏木昭男さんが自宅に保管していたダイヤモンドや骨董品、現金77万ドルなどは一切盗まれていなかったため、警察は強盗ではなく柏木昭男さんに強い恨みを持った人物の犯行だと推測していました。
その後、容疑者として暴力団幹部の男性と、その男性と親しかった女性が逮捕されましたが、犯行で使用された日本刀のような刃物が見つからず、結局証拠不十分として釈放されています。
そして犯人や犯行の意図もわからないまま2007年1月に時効が成立し、柏木昭男さんの殺人事件は未解決のままとなりました。
柏木昭男が愛したバカラのルールと戦略
柏木昭男さんがカジノゲームのなかでも「バカラ」を好んでプレイしていたのは、賭けられる金額の上限が高く、ハイローラーのなかで人気のゲームだったからです。
ハイローラーとは高額な賭け金(ベット)をおこなうプレイヤーのことです。
また、バカラはカジノゲームのなかでも、比較的プレイヤーが優位性のあるゲームだと一般的にも知られています。
そのような、柏木昭男さんが愛した「バカラ」のルールや戦略について詳しく解説します。
バカラのルール
バカラのルールは非常にシンプルで、基本的に「プレイヤー」と「バンカー」に置かれたカードのうち、どちらが勝利するのか予想して賭けるゲームです。
バカラの手順は大きく次の3ステップでおこなわれます。
- プレイヤーとバンカー、またはTIE(引き分け)のいずれかの場にベットする
- プレイヤーとバンカーの場、それぞれに2枚のカードが裏の状態で配られる
- カードがオープンされ、カードの合計が9に近いほうに賭けていたら勝利
例えば「バンカー」にベットしていたとして「プレイヤー」のカードの合計が3、「バンカー」のカードの合計が5だった場合は「バンカー」が勝ちとなり配当がもらえます。
カードの計算方法は、1〜9までは数字そのままで「10・J・Q・K」は0(ゼロ)でカウントします。
例えば「5」と「K」のカードの組み合わせの合計は「5」です。
このようにバカラは、プレイヤーとバンカーに配られたカードの合計数字が9に近くなるほうを予測し、賞金を獲得するゲームです。
バカラで使われる戦略
バカラでよく使われる戦略で、初心者の方でも実践しやすい方法を2つ紹介します。
1:迷ったらバンカーに賭ける
バカラは理論上「バンカー」のほうが若干勝率が高いです。
【バカラで賭けた場に対する勝率】
プレイヤー | 44.62% |
バンカー | 45.86% |
タイ(引き分け) | 9.52% |
つまり基本的な戦略としては、バンカーに賭け続けたほうが良いということです。
迷ったらバンカーに賭けておけば、賞金を獲得できる可能性が高いでしょう。
2:タイ(引き分け)には賭けない
タイは的中したときの配当金が非常に高く魅力的です。
【バカラの基本的なオッズ】
賭けた場 | 的中した際のオッズ |
プレイヤー | 2倍 |
バンカー | 1.95倍 |
タイ(引き分け) | 9倍 |
しかしタイになる確率は9.52%と非常に低く、さらにハウスエッジ(カジノ側に支払う手数料)は約14%も取られてしまいます。
【バカラのハウスエッジ】
賭けた場 | ハウスエッジ(手数料) |
プレイヤー | 1.24% |
バンカー | 1.05% |
タイ(引き分け) | 14.32% |
リスクに対してデメリットが多いため、基本的にはタイに賭けないほうがおすすめです。
より詳しくバカラを攻略し、賞金をGETしたい方は「バカラ完全攻略ガイド」もぜひ参考にしてください。